住宅ローン控除とは、住宅をローンで購入した場合に、毎年の年度末のローン残高に対して一定割合の控除額を所得税額対象となる課税対象所得額から控除する制度の事です。
住宅ローン控除は一定の要件にあてはまる住宅の新築・購入・増改築を行った場合にその年度の12月末日の住宅ローン残高に控除率をかけて計算します。
尚、住宅ローン控除の適用条件、適用範囲は居住した年度により条件が異なります。
基本的には住宅ローン控除は徐々に控除額が縮小していく流れとなっておりますが、多くの控除制度が延長されているように住宅ローン控除に関しても、今後延長措置が講じられる可能性がありますので借入金を利用して住宅購入を検討されている方は、今後の動向を注視しておきたい控除制度であると言えるでしょう。
住宅ローン控除は、不動産を購入する場合に限らず、増改築する場合にも、ローンを組んだ場合には、条件を満たしていれば控除の適用となるのじゃ。
住宅ローン控除の適用条件としては、年度末のローン残高は最高で2000万円~5000万円(居住年度により異なる)まで加味され、控除の最長期間は10年間となっておる。
住宅ローン控除制度は、居住年度が遅くなるにつれて、その控除額が下がっていく仕組みとなっておる点がポイントじゃ。
平成19年と平成20年の2年間に関しては適用年数が10年間・15年間で選択が可能となっておった次期もある。
しかし、現在では一律で最長10年までの控除期間となっておる。
尚、余談じゃが、住宅ローン控除制度の正式名称は「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる名称となっておる。
金融機関などの契約書類に記載される名称はこちらとなっておるので覚えておいて損はないじゃろう。
住宅ローン控除制度が適用となるには、以下の条件を満たしている必要があります。
【住宅ローン控除適用条件】
①その年度の所得が3000万円以下、サラリーマンの場合は3336万円以下であること
②住宅ローンの償還期間が10年以上であること
③取得日から6ヶ月以内に入居し、年度内に居住していること
④登記簿上の床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること
⑤中古住宅の場合は、木造なら築20年以内、耐火建築物なら築25年以内であること
これらの条件を満たしている住宅の場合、住宅ローン控除が適用となります。
住宅ローン控除の控除率は現在一律1%と設定されております。
その為、12月31日時点のローン残高がわかれば控除額を算出することは難しくはありません。
尚、算出された住宅ローン控除額に100円未満の端数がある場合は単数を切り捨てて計算します。
【住宅ローン控除率一覧表】 | ||||
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居住年度 | 控除 期間 | 最大 控除額 | 年末残高 | 控除率 |
平成21年 | 10年間 | 500万円 | 5000万円 以下 | 1年目~10年目 までの1% |
平成22年 | 10年間 | 500万円 | 5000万円 以下 | 1年目~10年目 までの1% |
平成23年 | 10年間 | 400万円 | 4000万円 以下 | 1年目~10年目 までの1% |
平成24年 | 10年間 | 300万円 | 3000万円 以下 | 1年目~10年目 までの1% |
平成25年 | 10年間 | 200万円 | 2000万円 以下 | 1年目~10年目 までの1% |
平成26年~33年 | 10年間 | 400万円 | 4000万円 以下 | 1年目~10年目 までの1% |
住宅ローン控除は当初平成25年で終了することになっておりました。
しかし、平成26年(2014年)4月に消費税8%、平成31年(2019年)10月に消費税10%の増税予定などの問題もありローン控除の排除と合わせて消費税の増税が行われると住宅需要が一気に冷え込む恐れが懸念され、2013年度税制改正大綱では住宅ローン控除の拡大が盛り込まれることになりました。
尚、この改正による変更点は上記住宅ローン控除率一覧表にもある通り、年末ローン残高が4000万円に拡大、控除期間と控除率は同じであるため最大控除額は400万円となっております。
では、ここからは具体的に住宅ローン控除の計算方法についてチェックしていきましょう。
ここでは、上記控除率一覧表を基に平成24年居住と平成30年居住の2つのパターンを計算してみます。
【平成24年居住・年度末住宅ローン残高が2542万6000円の場合】
まず住宅ローン控除率一覧表を元に平成24年度の年末ローン残高の範囲を見ると3000万円以下となっていることから、今回の住宅ローン残高2542万6千円は全て控除計算の範囲にある事がわかります。
ですから、この事例のケースでは単純にローン残高に1%をかけ
①25426000円×1%円=254260円
となり、254260円が住宅ローン控除の計算金額となります。
最後に100円未満は切り捨てる必要があるため254200円が住宅ローン控除額となることがわかります。
【平成30年居住・年度末住宅ローン残高が4200万円の場合】
まずこのケースでも住宅ローン控除率一覧表を元に平成30年度の年末ローン残高の範囲を確認します。
平成30年は今後予定されている消費税増税に伴う住宅ローン控除範囲の拡大があるため年末残高が4000万円以下となっていることから、今回の住宅ローン残高4200万円のうち上限となる4000万円までが控除計算の範囲にある事がわかります。
ですから、この事例のケースでは4200万円ではなく4000万円に対して控除率1%をかけ
①4000万円×1%円=40万円
となり、1年間の住宅ローン控除額は40万円となります。
通常ローン残高は毎年減少していくものですから、10年後にも上限の40万円の住宅ローン控除を受けるケースは少ないかもしれませんが、10年後の年度末に4000万円のローン残高がある場合は10年間で最大控除額となる400万円の控除を受けることが可能となります。
住宅ローン控除計算は年度末のローン残高に控除率1%をかけて計算します。
その為、ローン残高が減少すると控除額も減少していくので「最大控除額」を必ず得られる訳ではないという点を把握しておきましょう。
サラリーマンなど所得が給与所得のみの場合は、住宅取得の年度に限り確定申告の申請が必要となります。
確定申告時の必要書類としては、土地、建物の所在地の登記簿謄本、住民票、ローン残高証明書が必要となります。
尚、確定申告は「購入した不動産の所在地の管轄エリアにある税務署」に申請します。
住宅ローン控除の摘要を受けるために行う確定申告では、対象となる住宅の種類や工事種別によって必要となる書類が若干異なっておる。
ここでは確定申告を行う際に最低限必要となる書類や資料を対象別に確認しておくとしよう。
尚、住宅ローン控除を利用する初年度の確定申告では、「新築・中古住宅」・「認定長期優良住宅」・「認定低炭素住宅」・「増改築工事」の種類によって必要となる書類が若干異なるので覚えておくことじゃ。
【確定申告に必要となる書類一覧表】 | ||||
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対象 | 確定申告に必要となる書類・資料 | |||
(A) 一般住宅 (新築・中古) | 住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | |||
住宅借入金の年末残高証明書 | ||||
登記事項証明書(土地・建物) | ||||
家屋の金額が証明できる書類(建築工事請負契約書・中古住宅の場合は売買契約書等) | ||||
地震に対する安全性に係る建築基準法の耐震基準を満たした中古住宅の場合は指定確認検査機関が発行する証明書一式 | ||||
住民票の写し | ||||
(B) 認定長期 優良住宅 | 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し | |||
住宅用家屋証明書の写し、もしくは認定長期優良住宅建築証明書 | ||||
(A)一般住宅(新築・中古)の全ての書類 | ||||
(C) 認定 低炭素住宅 | 認定低炭素住宅を証明できる書類一式 | |||
(A)一般住宅(新築・中古)、(B)認定長期優良住宅の全ての書類 | ||||
(D) 増改築工事 | 住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | |||
住宅借入金の年末残高証明書 | ||||
登記事項証明書(建物) | ||||
建築確認済証の写し、検査済証の写しもしくは増改築等工事証明書 | ||||
請負契約書の写し | ||||
住民票の写し |