計算方法なび

計算方法なび♪では扶養控除の計算方法がどのように算出されているのか?について初心者向きにイラストや図を用いてわかりやすく解説しております。

◆扶養控除の計算方法なび♪(もくじ)

◆扶養控除とは?

扶養控除とは、養っている家族、もしくは親などが多い場合に、経費も多くかかる事を配慮して認められている控除制度です。

扶養控除の基準は一人につきいくらと控除金額が設定されており、扶養している家族数が多いほど控除額が高くなります。

尚、例えば夫がサラリーマンで妻が専業主婦の場合は、妻は夫の扶養に入っていると考えられますが、婚姻関係にある配偶者の場合は扶養控除ではなく配偶者控除の適用を受けることになります。
⇒配偶者控除の計算方法はこちら

◆扶養控除の計算方法の計算式

扶養控除は、原則として納税者本人と共に生計を共にしている扶養対象者の場合に限り適用される制度じゃ。

扶養控除の計算は「所得税・住民税」の税率を課税対象額にかけることで算出するのじゃよ。

扶養控除額算出表(一人当たり)【画像】

15歳以下の子供を扶養する家庭に認められていた「年少扶養控除」は、2010年の4月1日から実施されていた「子ども手当」を導入した際に廃止となっておる。

尚、この時導入された子ども手当に関しても2012年3月31日に廃止となり、現行の児童手当となっておるのじゃな。

◆別居中や老人ホーム入居中は控除対象になる?

扶養控除は、生計を共にしており条件を満たす親族のみ控除の適用範囲となる控除制度です。

ですから原則としては同居している家族・親族が対象となります。

しかし例えば、単身赴任で別居をしている場合や、離婚準備中などで別居をしている場合。

このような場合でも「仕送りしている事実がある場合」は仕送り先の親族に対しても扶養控除の対象として認められることになります。

また、70歳以上の両親や祖父母と同居しており長期的に入院となってしまった場合も、入院は一時的に離れている訳ですから扶養控除の対象として認められることになります。

扶養控除の適用となるか迷うケース【画像】

但し老人ホームに既に入居している両親・祖父母に関しては、生計を共にしていると判断されず扶養控除の適用外となる点を把握しておきましょう。

◆扶養控除の適用例

【五人家族の例】
 家族構成 父40歳(世帯主) 妻37歳(配偶者)
 長女17歳 長男15歳 次男13歳

この場合は上の表を参照に計算すると

長女は17歳なので所得税で38万円、住民税で33万円

長男と次男は15歳以下なので所得税・住民税でそれぞれ扶養控除の適用から外れます。

ですから、この家族の事例における扶養控除額は

■所得税38万円
■住民税33万円

となることが解ります。
※計算例は世帯主以外の物の年間所得金額が年間38万円以下の場合です。

子ども手当制度が創設される以前の児童手当制度の時は15歳以下の子供には年少扶養控除があった為、同じ家族構成の場合は

■所得税=63+38+38+38=177万円
■住民税=45+33+33+33=144万円

と大きな所得控除の適用がありました。

子ども手当が支給される事に喜んでいたら実は大きな増税がセットになっていたという訳ですね。

それでも、子供手当の導入に沸いた当時は「毎月一人あたり2万6千円にも登る子ども手当が支給された場合は増税分を差し引いてもプラスになるので問題はない!」という風潮がありました。

何となく一般市民には解りにくい計算に基づく増税が隠されていた事を私たちは今一度把握しておく必要があります。

尚、実際に行われた子ども手当の支給金額は半額の1万3千円と公約とは異なるものでした。

そして現在は既に子ども手当制度そのものも廃止となり名称も児童手当に戻っております。

◆年少扶養控除の廃止でいったいどうなる?

ここまでも軽く触れてきた通り15歳以下(16歳未満)の子供を対象とした年少扶養控除が廃止され子供手当てが支給されるようになり、その「子供手当て」は平成24年4月から「児童手当」となった経緯は理解できてきたじゃろうか?

尚、実際は年少扶養控除制度の廃止によって、子供のいる大半の家庭は大きな増税を受けることになっておる。

結局知りたい問題は「では実際にどの程度の増税となったの?」

という現実的な金額の問題じゃろう。

この増税額の計算について意外とわかりにくいものじゃ。

ここでは一度実際にどの程度の増税額になるのかについて確認しておくとしよう。

◆扶養控除廃止による増税額の計算

【夫40歳 妻34歳、14歳、12歳、6歳の子供が3人の場合の扶養控除後の増税額の計算例】

この事例の場合は、上の表を参照に、子供が全員15歳以下であるため、

■所得税は114万円
■住民税は99万円

の控除が無しとなります。

次に控除適用分の114万円に相当する所得税と住民税を算出した場合。

所得税は所得税率速算表を見ても分かる通り所得税率は累進課税制度となっているため、約5%~40%と幅が広い為、ここでは年収195万円以上900万円以下の範囲である10%・20%・30%で算出したとすると以下のようになります。

■10%範囲なら所得税は11万4000円
■20%範囲なら所得税は22万8000円
■30%範囲なら所得税は34万2000円

の実質増税となっていることがわかります。

続いて同じように控除適用分99万円に相当する住民税を税率一律10%で算出すると、

■住民税は9万9000円

の増税となることがわかります。

この計算例の場合は年間で21万3000円~44万1000円の増税となることがわかりますね。